より高い性能のアウトドアウェアの撥水加工を目指して

ゴアテックスなどのレインジャケットを使用していく中で、失われてしまった撥水性能を取り戻す方法としては防水スプレーやNIKWAXなどに代表される撥水剤などすでに幾つかの方法が存在します。

ただしどの方法も私たちは満足がいきませんでした。
確かにそれら撥水処理を行った直後は撥水性能を取り戻したかのように見えますが、少し雨に降られれば、また元の撥水を失った状態に戻ってしまいました。

これらを何とかしたい、もっと撥水性能が持続するようにしたいと研究を重ねた末に開発した撥水性能の再活性化サービスdroproofを紹介していきます。

元々はアウトドア用品のレンタルサービスで創業した

私たちの始まりは2010年の6月にさかのぼります。

そらのした代表の室野氏がインターネット上で注文ができて、日本全国のどこでも受け取れるアウトドア用品専門のレンタルサービスを開始したことが始まりになります。
このようなサービスは、当時の日本にはありませんでした。
本格的な登山用品から、一般的なキャンプ用品まで、アウトドアに特化して専門的なギアをレンタルできるサービスとして多くの方に利用して頂くことができました。

特に富士山を利用される際に多く利用されました。富士山は標高が3776mあり、日本で一番高い山であるため、専門的な装備が必要になります。
その時に、短期的に専門的な装備を借りられるということで富士山の登山者に最適なサービスでした。

ゴアテックスなどの本格的なギアをたくさん扱っていた

私たちは登山やキャンプの専門ショップであったため、取り扱うレンタル品にもこだわるようにしていました。
そのためレインウェアはゴアテックスを取り扱いしていましたし、寝袋も冬季の山で使用できるレベルの物を当時からラインナップしていました。

レンタルサービス自体は例えばスキー場などインターネット上でなければ、昔から実施されていたサービスです。
ただし、そこで取り扱いされる商品は安価な商品ばかりでメンテナンスもシーズン終了後に一度きりというものばかりでした。
私たちは、本格的な登山用品を扱うことを差別化として、ゴアテックスのジャケットをたくさんレンタルで貸し出していたからこそ、ゴアテックスジャケットの問題点に気が付くことができました。

最初は私たちも防水スプレーやNikwaxなどを使って撥水をしていた

アウトドアウェアや登山靴をレンタルするため、最初は私たちも使用済みのギアをメーカーやゴアテックスが紹介する通りに洗濯を行い、撥水スプレーやNikwaxなどを使って撥水処理を行って、次の人に貸し出していました。
しかしながら、メーカーやゴアテックスが紹介する通りにメンテナンスを行ったとしても、性能の回復は満足のいくものではありませんでした。

むしろレンタルサービスを実施している立場だからこそ、何度も貸し出して何度も洗濯を行ったレインウェアとまだ1,2回しか使用していないレインウェアの差を認識することが多かったです。

このように使用を重ねたレインウェアがどのように劣化していくのか、撥水を失っていくのかは私たちは誰よりも理解できる状況にありました。
そして、それら撥水を失ったレインウェアがメーカーやゴアテックスが伝える処理方法でメンテナンスを実施したとしても完全には戻らないことも実感する立場にありました。

プロフェッショナルとして撥水性能が十分にあるもの貸し出したい

この時、私たちはアウトドア用品を専門であつかうプロフェッショナルとして、撥水性能が十分でないレインジャケットを貸し出すことが本当に正しいのか、自問しました。
逆にプロフェッショナルだからこそ、撥水性能がしっかりとしたレインウェアを貸し出す必要があるのではないだろうかと考えました。
そこから私たちの撥水性能に対する探求は始まりました。

ゴアテックス生地に対する理解

最初はゴアテックスの生地に対する調査から始まりました。
私たちも最初はゴアテックス生地を十分に理解できていませんでした。
なぜ防水性能や撥水性能が失われていくのか、なぜレイヤー構造になっているのか、なぜメンテナンスをしなければならないのか?
これらを一つ一つ調べていくにつれて、ゴアテックス生地の特性を理解することができるようになりました。

ちろん同時にゴアテックス生地が如何に優れているのかも知ることになります。
ただし、これらゴアテックス生地の素晴らしさも、撥水性能があってこそ活かされるものであることに気が付いてから私たちのメンテナンスに対する使命感は非常に強いものとなりました。

従来の撥水処理に対する問題点

では防水スプレーとNikwaxなどの撥水剤は何が問題なのか。私たちもこの問題を解決するのは時間が掛かりました。
幾つものゴアテックスレインウェアを切り刻み試験片に加工してテストする行為を繰り返し、試験片に加工したゴアテックスレインウェアは100着を超えることになりました。

それらゴアテックスジャケットを失った結果分かったことがあります。
それは販売されているレインウェアの撥水処理は防水スプレーやNikwaxなどの撥水剤で処理されていないことです。
販売されているレインジャケットはそれらと全く異なった処理方法で処理されていました。そもそもプロセスが異なっていたのです。

それは当然の事でした。
販売されているレインジャケットは工場で機械的に撥水処理されているのですが、私たちが自分で撥水処理をする場合はそれら機械を持っていません、より手軽に簡単に撥水処理をするために開発された商品が防水スプレーやNikwaxなどの撥水剤です。
これらは手軽に処理出来て撥水性能が回復できるため、多くの人を満足させる非常に優秀な商品であるのですが、よりハイレベルの処理を行うには不向きでした。

私たち登山者は一日中雨に降られる状況で活動する必要があるため、一般向けでは満足できないのです。
そしてハイレベルの撥水処理を行うには、販売されているレインウェアと同じような設備にて処理する必要があったのです。

販売されているレインウェアと同じ処理をすることも難しい

販売されているレインウェアと同じ工程にすればいいと考えて、上手く行ったかと言うと、残念ながら上手く行きませんでした。そんなに簡単ではありませんでした。
実は販売されているレインウェアは完成されたレインウェアの形で撥水処理がされているわけではありません。
レインウェアに加工される前のロールに巻かれた生地の状態で撥水処理がされていたのです。

そのため服としてに仕上がったレインウェアで、生地と同じ撥水処理を行うと、生地やレインウェアの部品が損傷してしまうなどの不具合が起こりました。
大きな壁に当たった瞬間でした。解決策を見つけるのは容易ではありません。

なぜ防水スプレーより販売されているレインウェアの方が撥水性能が良いのか

それでも私たちはなぜ販売されているレインウェアの方が撥水性能が良く、防水スプレーやNikwaxなどの撥水処理が性能が出せないのかを根気よく調べて、性能を出すには何がポイントなのか、を突き詰めました。そうして完成したのが私たちの撥水技術であるDANSUIコーティングです。

これらは防水スプレーやNikwax等の撥水処理とはプロセスが異なりますし、また、販売されているレインジャケットと同じプロセスでもありません。
独自のプロセスを作り出し、そして撥水剤もそれに適応するように作り上げました。
つまり私たちの撥水剤は私たちのプロセスで性能を発揮できるようにできているのです。
よく撥水剤を分けてほしいとお願いされるのですが、残念ながら撥水剤だけを渡しても性能が出せません。
撥水剤だけで性能がだせるのではなくプロセスも重要なのです。

こうして開発された撥水技術を提供するためにdroproofという再撥水加工サービスを2015年より日本でスタートさせました。
そして2023年にはPFCフリー化も行いサービス提供しています。
これらの撥水技術が求められるのは、なにも日本だけではないはずです。

サスティナブルな取り組みが求められる昨今、メンテナンスを行い、製品をより長く使うことが求められています。
そのような環境だからこそ、私たちのDANSUIコーティング技術、そしてdroproofサービスはゴアテックスジャケットなどの専門ウェアをより高いレベルで撥水性能を回復し、信頼性の高いレインウェアによみがえらせるサービスとして必要とされると信じています。

そのため、私たちは色々な国のパートナーと協力しながら日本以外の国でサービス提供をする形を望んでいます。
ぜひ興味がある方は私たちにコンタクトを取ってほしいです。

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