【5ステップで解説】ゴアテックスの正しい洗濯方法

ゴアテックスの洗濯方法はゴアテックスのウェブサイトやアウトドアブランドのウェブサイトから情報を得ることができます。
とは言え洗っても防水性や撥水性が本当に落ちないのか気になるところではないでしょうか?
私たちは毎年一万着以上のゴアテックスを洗っている実績から有益な情報をお伝えできると信じています。

ゴアテックスのウェアを清潔に保ち、耐久性を維持し、次のアウトドア・アドベンチャーに備えるための最適な洗濯方法をご紹介します。

ゴアテックスを理解する: 簡単な紹介

ゴアテックスはアウトドアウェアに使用される、高い人気と信頼性を誇る素材です。
その優れた防水性と透湿性で知られ、アウトドア愛好家にとって理想的な選択肢となっています。
ゴアテックスは、水蒸気を逃がし、水の浸入を防ぐユニークなメンブレンを採用しています。
この技術により、さまざまな気象条件下でドライで快適な状態を保つことができています。

ゴアテックスの衣類の洗濯に関しては、その生地の構造とお手入れの必要性を理解することが重要です。
適切な洗濯方法に従うことで、ゴアテックスの衣類の性能を維持し、長持ちさせることができます。

もし洗濯をしないと、レインウェアの化学劣化を促進させてしまいます。
縫い目に施されているシームテープの剥離だけでなく、生地の剥離を引き起こします。
生地が剥離してしまったウェアは、私が知るところ修理ができる業者を知りません。

こうした致命的な損傷を避けるためにも洗濯と保管を適切に行っていくことが必要です。

ステップ1:洗濯の準備

ゴアテックスの衣類を洗濯する前に、適切な準備が不可欠です。
まず、お手入れタグ・ラベルをチェックし、メーカーからの特別な指示を確認することから始めましょう。
衣類によっては特別なケアや処理が必要な場合があります。

次に、ポケットをすべて空にし、ファスナーやベルクロファスナーを閉じて、洗濯中の引っかかりや損傷を防ぎます。
また、フードやライナーなどの取り外し可能な部品は、可能であれば取り外しておくとよいでしょう。

裏返しにする、もしくはネットに入れる

衣類の準備ができたら、洗濯中に表地を保護するために裏返しにします。
こうすることで、ゴアテックスのウェアの外観と機能性を保つことができるだけでなく、ファスナー等の部品が当たることによる傷つきを防ぎます。
ネットに入れることも同じ効果となります。
もしプリントタグがある場合は裏返しが良いでしょう。

これらの行為は洗浄に必要な機械力を弱めるため、洗浄力は落ちます。

裏返しにしてかつネットに入れる行為は非常に安全ではありますが、汚れを落とす機械力をきわめて弱めるため、どちらか一方を行えば良いかと思います。

ステップ2:正しい洗剤の選択

ゴアテックスの衣類を洗濯する際は、防水透湿素材専用の洗剤を使用することが重要です。
通常の洗剤は、ゴアテックス・メンブレンの孔を詰まらせたり、撥水性能に影響を与える残留物を残す可能性があります。
もしくはステップ5で説明する撥水処理の際に、撥水剤の付着を阻害するものもあります。ゴアテックスやその他のテクニカル素材に適していると明記されている洗剤を探しましょう。

柔軟剤はDWR(耐久撥水)性能を弱める可能性があります。
漂白剤、刺激の強い化学薬品は生地もしくはゴアテックス・メンブレンとの接着力を傷める可能性があるため、使用を避けてください。
添加物や香料はその後の撥水処理に影響を与える可能性があるため、そのような物を含まない洗剤を選びましょう。

ステップ3:ゴアテックスの衣服を洗濯する

ゴアテックスの衣類を洗濯するときは、前入れ前洗濯機の穏やかなサイクルで洗うのがベストです。
攪拌機付きの上入れ式洗濯機は、生地に対して強いストレスを与える可能性があります。
また熱いお湯もゴアテックスのメンブレンにダメージを与え、生地の剥離を生じさせる可能性があるため、水温は冷水かぬるま湯に設定してください。

パッケージに記載されている説明に従って、適切な量の専用洗剤を洗濯機に入れます。
基本的には洗剤は少なめという意識が必要です。
ゴアテックス向きの洗剤は洗浄力が弱めていることが多いため、襟や袖など汚れが気になる部分にはあらかじめ洗剤を染み込ませてから、ゴアテックスの衣類を洗濯機に入れ、洗濯サイクルを開始します。

この時すすぎは多めが望ましいです。すすぎは3回が良いでしょう。
すすぎを多く行い、洗剤カスをできるだけ除去します。

また脱水は最も短い時間で設定してください。ゴアテックスウェアは水を通さない素材の為、洗濯機に大きな負荷を与えてしまいます。

洗濯サイクルが終了したら、衣類を速やかに取り出し、洗濯機の中に長時間放置しないようにしてください。
洗剤や水分が残っていると、臭いやカビの発生につながります。

しっかりとした脱水が行われていないため、まだウェアはかなり濡れている状態だと思います。
しかしながらゴアテックスの衣服を絞ったりねじったりしないでください。
その代わり、余分な水分を切り、吊るして乾かします。

日光による乾燥は短時間であれば良いですが、長時間にわたる乾燥を行うと、紫外線によるダメージで表面生地が弱くなるため避けましょう。

ステップ4:ゴアテックスの乾燥とメンテナンス

水気がなくなるまで釣り干し乾燥した後、さらに乾燥工程を加えます。

なぜ追加の乾燥を行うかと言うとDWR(耐久撥水性)を再活性するためです。
DWRの再活性には熱エネルギーが必要になります。
そのため、全体的に熱を加えられる乾燥機が良いでしょう。
60℃ほどの熱を20分ほど加えてください。

注意してほしいのは、濡れている状態では意味をなさないことです。
濡れている状態で熱を加えても、DWRの再活性エネルギーには使われずに、水の蒸発エネルギーに使われてしまいます。
その結果DWRは不十分に終わってしまう可能性があります。

ステップ5:DWR(耐久撥水性)の再活性処理

乾燥機で熱乾燥を行っても、DWRは再活性しない場合があります。
その原因は、詳しくは別のコラムにて説明しますが、その場合は再度DWR処理が必要になります。

ゴアテックスの衣服にDWR処理が必要な場合は、専用のスプレーや洗濯できるウォッシュインタイプの撥水処理剤を使用することができます。
メーカーが提供する説明書に注意深く従いましょう。

撥水剤をたくさん塗るとDWRが強くなるイメージがありますが、残念ながらあまり変わりません。
むしろ失敗してジャケットにシミが残ってしまう場合があります。
このようなシミが残ってしまったら専門家に依頼してください。

ゴアテックスの衣服に損傷や摩耗の兆候がないか、定期的に点検してください。
破れ、穴あき、層間剥離などに気づいたら、専門家に修理を依頼するしてみてください。

これらのステップに従うことで、ゴアテックスのウェアを清潔に保ち、耐久性を維持し、次のアウトドア・アドベンチャーに備えることができます。

まとめ

ゴアテックスウェアは適切な知識で適切な洗い方をすれば非常に永く使用することができてとてもサスティナブルです。
私たちは毎年10000着以上のゴアテックスを洗っており、その経験を本コラムに掲載しています。
これだけのことをする自信が無いという人は、私たちのような専門家に任せるのも一つの手段だと思います。

ただし私のお勧めは、日々の洗濯は自分で行い、定期的なメンテナンスを専門家に依頼することです。
任せるにせよ、自分で行うにせよ、ゴアテックスウェアのパフォーマンスを最大限発揮するためには、メンテナンスが重要だということを覚えておいてください。

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