前コラムでゴアテックス自体には撥水性が無いこと、またゴアテックスウェアは3層構造であり、最外層の繊維に撥水性を持たせていることをお話しました。
さて、今回はその最外層繊維の撥水性が失われることで、ゴアテックスウェアにどのような影響が起こるかをお話します。
前コラムはこちら
・【ゴアテックスの構造】ゴアテックスに撥水性を付加させるには…
撥水性がウェアに与える影響は3つ。
撥水性が損なわれることによって、ゴアテックスウェアに与える影響の中で、特に深刻なものが3つあります。
1、透湿性が損なわれる
ゴアテックスの最大の恩恵は汗を逃がしてくれる点にあります。ウェア内で汗をかき、ウェア内の水蒸気圧が外の水蒸気圧を上回ることで、蒸気がウェア外部に放出されます。
この時もし、最外層の繊維、つまりゴアテックスの外側にあたる部分に水の膜が存在してしまうと、水蒸気が外に出ることを阻害してしまいます。つまり汗は外に出なくなり、ビニール合羽状態となります。
いくらゴアテックスの機能が優秀でも、3層構造であるがゆえに、最外層の繊維が蒸気の発散を塞いでしまえば元も子もありません。
2、ウェア自体が重くなる
撥水していない繊維は、その逆の作用が起こってます。つまり吸水しています。正確に言うと親水されると表現します。
100%の撥水性を持つウェアは残念ながら世の中にありませんので、どんなウェアでも雨に打たれれば幾らか吸水します。
吸水する分、ウェア自体が重くなってしまいます。
皆さんも洗濯したあと、洗濯物がとても重たくて苦労していることと思います。そんな重たいウェアを身にまとうので疲労へとつながります。
水は非常に重たいものです。頑張って軽量化をしても、水の重量を増したウェアを着てしまうのはとても悲しいことです。
3、冷えやすくなる
1や2の作用は比較的わかりやすかったと思います。
但し、分かりにくい内容ではありますが最も深刻なのがこの「冷え」です。
しかも
この3について掘り下げて次回コラム(撥水性が低下することによる冷えの現象 vol.1)でお話させて頂きます。