アウトドアウェアに欠かせない存在として、ゴアテックス素材は登山や釣りキャンプなどを楽しむアウトドア愛好家には欠かせない存在です。雨に打たれても透湿性があるお陰で、ウェア内部は蒸れずに快適に過ごすことができるゴアテックス素材は画期的な存在でした。
ゴアテックスウェアは一般的なレインウェアよりも高価です。それだけの試験を行われて、品質を担保されている証でもあるからです。高価なウェアだけにそう簡単には買い換えられません。そこで疑問が生じます。いったいゴアテックスウェアの寿命はいつだろうか?どのようになったら買い替える必要があるだろうか?
今回はゴアテックスの寿命について記載してきます。
ゴアテックスは永久に劣化しないのか?
古くからのゴアテックスユーザーであればゴアテックスは永久に劣化しないと言われていたことを聞いたことがあるかもしれません。これは本当なのでしょうか?
じつは前提条件はありますが、これは本当です。ただしだからと言ってゴアテックスウェアに寿命が無いというわけではありません。ゴアテックスウェアが永久に劣化しないわけではなく、じつはゴアテックスの素材が劣化しないということです。
ゴアテックスは実は目には見えておらず生地と生地に挟み込まれています。この挟み込まれている素材がゴアテックスの本体であり、メンブレンと呼ばれています。かつてゴアテックスのメンブレンはePTFEと呼ばれる物質で作られており、これが非常に高い安定性を持つ物質でした。何百年と劣化せずに同じ性質を保つことができ劣化はほとんど見られません。しかしながら、逆にそのタフすぎる性質から、自然環境中に紛れ込んだ場合でも長期間安定して残ってしまう為、環境問題の観点から問題視されていました。
その結果、近年ではゴアテックスの素材そのものに変更が加わることとなりました。これがePEとよばれる物質になります。この変更により、さすがに永久に劣化しない素材とは言えなくなりました。とは言え10年程度ではほとんど劣化しないと言っても良い物質の為、レインウェアに使われる素材としては充分だとは言えます。
ゴアテックスウェアの寿命は何で決まるのか?
ゴアテックスのメンブレンが永久に劣化しないからと言って、ゴアテックスウェアも永久に使えるというわけではないということは先にも記載しましたが、ではゴアテックスの寿命は何で決まるのでしょうか?
およそ生地や部品が損傷することでゴアテックスの寿命と言えます。ここでは幾つかの代表的なパターンがあるので紹介していきます。
破れ・損傷が発生した場合
ゴアテックスウェアの表面は非常に強い糸で作られていますが、それでもナイフやカッターのような鋭利な物に当たれば破れてしまいます。また、火の粉にも弱く、焚火の近くで火の粉が飛んできて穴が開いてしまうという事もあります。
このような状況になると、破れや穴がある部分から水が浸入してきてしまいます。レインウェアとしては致命傷でしょう。
対策・対処
ただし破れや穴の修理はそれほど難しくありません。恐らくそれぞれのメーカーに相談すればリペアが可能でしょう。販売された時期によっては、修理用の同じ生地が無い場合があり、別の色味になってしまう場合もあります。
シームテープが剥がれてしまった場合
ゴアテックスが劣化していなくても、その他の部材が劣化することでレインウェアとしての機能が失われてしまうことがあります。その代表例がシームテープ剥がれです。
ゴアテックスの生地にはゴアテックスのメンブレンが挟み込まれているので防水性が保たれていますが、縫い目は穴が開いてますので、防水性が確保できません。レインウェアには、その縫い目の防水性を確保するために、シームテープを貼り付けています。
しかし、これらは接着によって張り付いているため、保管状況によって劣化が起こります。シームテープが剥がれてしまった場合、水圧が掛かれば簡単に水は侵入してしまう為、レインウェアとして使用する場合、致命的な影響が起こる可能性もありますので注意しましょう。
対策・対処
シームテープの剥がれも難しい修理ではありません。こちらもそれぞれのメーカーに相談すれば修理をしてもらえると思います。
またシームテープを購入することにより自分で貼り付けも可能です。ただし、貼り付けた際の漏れ管理であったり、シームテープの貼り付け強度は確認ができない点はメーカーや業者に依頼する場合との差があります。また、シームテープの一部が剥がれているという事は他のシームテープも弱っている可能性があるため、そちらの点検も必要です。業者に依頼する際はシームテープを貼った後の水漏れ試験を行ってもらえる専門業者に依頼するようにしましょう。
生地の剥離が発生した場合
ゴアテックスは一枚の生地に見えますが、本体のメンブレンと生地が貼り合わせて複数層で出来ています。そのため、保管状況によっては生地剥がれが発生する場合があり、生地剥がれが発生してしまった場合、防水性こそ保たれていますが、見た目で問題が生じます。
対策・対処
おそらくゴアテックスの生地剥がれが発生して修理してくれるメーカーは無いでしょう。こちらの修理は非常に高度な技術が必要になります。
専門ショップでも断られることが多いと思います。私たちはこちらの修理も状況によっては可能です。特に剥がれて間もない場合は再貼り付けが可能になる可能性もあるため、早期に相談してもらえれば幸いです。
撥水性の低下
ゴアテックスのメンブレンは、破れや穴が無い限り防水性をずっと保つことができます。一方で水を弾く撥水性能は使用によるストレスで低下してしまいます。撥水性能が低下しても防水性は保たれるのですが、透湿性が無くなり、ウェアも水を吸うことで重たくなり、冷えやすくなり、レインウェアとしての機能は著しく低下してしまいます。撥水性の低下も実は目には見えていない損傷だと私たちは考えています。
対策・対処
撥水の再回復はご自身で対処可能です。アウトドア用品店に行くと撥水剤が販売されていて、それを用いることで撥水性を回復することができます。一方でこのような撥水回復剤は家庭でご自身で対処ができる一方で、新品レベルに撥水が回復できるわけではないため何度も処理が必要になります。これが大変だと感じる方はプロの業者に依頼することをお勧めします。もしこのような問題を感じている方はdroproofまでご相談ください。