アウトドアウェアは使用していくと撥水性能が失われてしまいます。撥水性能が失われてしまうとゴアテックスなどの高機能素材であっても、防水性は変わらず確保できたとしても肝心の透湿性は本来のパフォーマンスが出せない状況になってしまいます。そのためお手入れが重要になります。
撥水性能が失われたゴアテックスウェアはNIKWAXやGranger’s、そしてReviveXなどの撥水回復剤を使うことで家庭でも回復することはできます。ただし、上手く撥水が回復できなかったり、撥水シミができて不具合が生じてしまうこともあります。
これらは正しくNIKWAXなどの撥水剤を使えていないという原因もありますので、今回はゴアテックスウェアのお手入れでNIKWAXを使う際の気を付けるポイントを説明していきます。
ゴアテックスの洗濯洗剤に気を付ける
まずはNIKWAXを使用する前段階で気を付けることがあります。ゴアテックス洗濯を行う際に使う洗剤を間違えてしまうとその後の撥水にも影響を与えてしまいます。そしてこれはNIKWAXを使う直前に行う洗濯洗剤だけでなく、普段行っている洗濯洗剤の影響も残ります。
洗濯洗剤では、汚れを落とす効果だけでなく、柔軟性を維持させる効果や香りを残しておく効果を加えることがあり、このような成分が蓄積し、その後の撥水処理の撥水効果を低下させてしまう可能性があるため、汚れを落とす効果だけをもつ洗剤が望ましいです。
そのような点からも、普段から洗濯洗剤ではアウトドア専門の洗剤を使うように心がけましょう。
洗濯を行ってから撥水処理をする
NIKWAXなどの撥水剤を付ける前には必ず洗濯を行いましょう。
洗濯機にNIKWAXを入れて撥水処理が可能なため、洗剤と撥水剤を一緒に入れてしまったり、洗濯無しでいきなり撥水処理をしたりするのは、NIKWAXなどの本来の撥水性能が出せなくなる原因になります。
例えば壁にテープを貼る際に、壁面が埃で汚れていたとしたら、どうでしょうか。気にせず貼る人は少なく、おそらくテープを貼る面は綺麗にしてから貼ると思います。それらと同じく撥水処理をする前には、生地表面をきれいにしてから撥水を行うことで撥水の定着を増すことができます。
撥水剤は適量を守る
より撥水性能を上げたいと思い、撥水剤をたくさん使ってしまうことがあるかもしれません。これは失敗の原因となります。撥水剤をたくさん使ったからと言って、撥水性能が上がるわけではなく、一方で撥水シミが残りやすくなります。
水気が無くなってから乾燥機に入れる
撥水剤は処理した後に熱処理を行うことで、活性化されて撥水成分が表面に出てきやすくなります。そのため、熱処理を行った方が良いです。NIKWAXは熱処理が無くても撥水性能がでるようになっています。しかしながら熱処理があることでより安定して撥水性能を発揮することができます。
この時注意したいのは、水気が残っている状態で熱処理をするのではなく、ウェアが乾燥してから熱処理を行う点がポイントです。水気が残っている状態で熱処理を行うと水の蒸発にエネルギーが使われてしまう為です。熱処理は乾燥機で良いでしょう。中温の乾燥機で20分入れることで撥水剤の活性化としてのエネルギーに使えることができます。
それでもお手入れが上手く行かない、満足いかない場合はプロに依頼する
上記の形をすべて実施したにもかかわらず、その撥水性能に満足が行かない場合は、プロフェッショナルに依頼しましょう。NIKWAXなどの市販の撥水剤は家庭で失敗しにくいように作られているため、新品で販売されているジャケットに施される撥水コーティングとは異なっています。そのため、撥水性能にはどうしても限界があります。私たちが取り扱う撥水剤は新品で販売されているジャケットに施される撥水コーティングに近い成分となっており、その代わり専門設備を持って処理する必要はあります。そのような専門設備やプロ用撥水剤を使うことで、家庭で行う撥水とは別次元の撥水性能を付与することができます。