あなたが愛用しているゴアテックスのウェア。雨の日も風の日も、何度もあなたを守ってくれました。
でも、使い続けていると気になることがありませんか?
「最近、雨を弾かなくなってきた」
「襟や袖が黒ずんできた」
「快適性が落ちてきた気がする」
そう感じたとき、多くの人は「もう寿命かな」と考えてしまいます。
しかし、ちょっと待ってください。
実は、その劣化は 正しい洗濯で回復できる のです。
ゴアテックスウェアは、防水性と透湿性を両立させた素晴らしい素材です。しかし、その高い性能を発揮するには、適切なメンテナンスが必須です。
15年以上のアウトドア専門クリーニング経験から、私たちが知る正しい洗濯方法を、このガイドでお届けします。
📹 動画で詳しく解説しています
ゴアテックスウェアが洗濯を必要とする理由
なぜ定期的な洗濯が必要なのか
ゴアテックスウェアは、見た目の汚れだけでなく、性能の低下とも深く関わっています。
使用中に付着する汚れ、汗、埃、油分などは、生地の表面に蓄積します。特に首回りや袖口といった肌に接する部分では、肌の油分が付着しやすく、黒ずみになります。
そしてもっと重要なのが、表面の撥水コーティングの低下 です。
ゴアテックスの外側には、撥水加工が施されています。この撥水コーティングが汚れで目詰まりすると、水を弾く力が失われ、水が生地に吸収されるようになります。
結果として:
- ウェアが濡れて重くなる
- 体温が奪われて寒くなる
- メンブレン(透湿機能)が機能しなくなる
- シーム(縫い目)から漏水する
という負のスパイラルに陥るのです。
洗濯 vs 廃棄
「洗濯が面倒なら、新しいウェアを買えばいいのでは?」
そう思うかもしれません。しかし、正しい洗濯をすることで、ゴアテックスウェアは 何年も性能を保ち続ける ことができます。
つまり、洗濯は 環境にも優しく、経済的にも賢い選択 なのです。
ステップ1:洗濯前に確認すべきこと
洗濯タグを確認する
最初にすべきことは、洗濯タグの確認 です。
ウェアの内側には、洗濯方法を示す記号が付いています。この記号は、世界共通のルールで決められており、以下の情報を教えてくれます:
- 洗濯方法(洗濯機OK? 手洗いのみ?)
- 推奨水温(何℃まで?)
- 禁止事項(乾燥機はNG?)
- 脱水方法
ゴアテックスウェアの多くは、洗濯機での洗濯を認めています。ただし、ブランドやモデルによって条件が異なるため、必ず確認してください。
記号の見方がわからない場合は、インターネットで「洗濯記号」と検索すると、詳しい説明が出てきます。
ステップ2:洗剤選びが9割を決める
一般的な洗剤ではダメな理由
「ゴアテックスを洗う? 普通の洗剤でいいでしょ」
実は、これは大きな間違いです。
市販の一般的な洗剤は、洗浄力を高めるための成分や、香りや柔軟性を高めるための成分が多く含まれています。これらの成分は、ゴアテックスの撥水コーティングに悪影響を与える可能性があります。
特に避けるべき洗剤の特徴:
① 粉洗剤
量によっては粉が生地の繊維に残り、撥水性が低下します。絶対NGというわけではないのですが液体洗剤の方が使いやすいです。
② 強いアルカリ性の洗剤
撥水コーティングを傷める可能性があります。中性または弱アルカリ性を選びましょう。
③ 蛍光増白剤入りの洗剤
生地を白く見せるための成分ですが、ゴアテックスなどにはとくに必要なく、むしろ邪魔になる場合もあります。
④ 柔軟剤入りやおしゃれ着洗い
香りや柔軟性を保つための成分が、撥水コーティングを覆ってしまうかのうせいがあります。
アウトドア専用洗剤をおすすめする理由
では、何を使うべきか?
答えは、アウトドア専用洗剤です。
ニックワックス、グランジャーズ、ストームといったメーカーが出しているアウトドア洗剤は、「できるだけ生地に成分を残さない」というコンセプトで設計されています。
アウトドア洗剤の特徴:
- 液体で、粉残りなし
- 中性または弱アルカリ性
- 蛍光増白剤なし
- 香料や柔軟成分を最小限に
結果として、混ぜ物が少ないアウトドア洗剤は撥水性を損なわずに、後の撥水成分に影響が少ないです。
洗剤の使用量を守る
アウトドア洗剤は、一般的な洗剤より洗浄力が穏やかです。そのため、「たくさん入れれば汚れが落ちやすくなるのでは?」と考える人がいます。
これは誤りです。むしろ逆効果です。
洗剤の使用量が多いほど、すすぎ時に洗い流すのが難しくなり、生地に洗剤成分が残りやすくなります。必ず、洗剤ボトルの裏面に書かれた用量を守ってください。
汚れが落ちにくい場合は、洗剤を増やすのではなく、「予備洗浄」と「本洗浄」の2工程に分けることで対応します(後で詳しく説明します)。
ステップ3:予備洗浄(プレウォッシュ)が最重要
予備洗浄とは
予備洗浄は、本洗濯の前に、汚れが目立つ部分に洗剤を直接つけて、軽く揉む作業です。
この一手間が、洗濯の仕上がりを大きく左右します。
予備洗浄の手順
1. 汚れやすい部分を確認する
ゴアテックスウェアで汚れやすい場所は決まっています:
- 首回り:肌の油分や汗が付着しやすく、黒ずみになる
- 顔周り:雨で濡れるたびに、埃や污れが蓄積
- 袖口:手で触れる部分で、油分や汚れが付着
- 脇や背中:汗が多く付着する部分
2. 洗剤を直接つける
洗剤ボトルのキャップや、小さな容器に洗剤を取り、汚れた部分に垂らします。
3. 軽く揉む
洗剤を生地に染み込ませるよう、軽く揉みます。
4. そのまま15〜30分待つ
洗剤を染み込ませたまま、少し時間を置きます。汚れが浮き上がりやすくなります。
この予備洗浄により、本洗濯では汚れがずっと落ちやすくなり、同時に洗剤の使用量も最小限に抑えられます。
ステップ4:本洗濯の準備
ファスナー・ポケット・ひもをすべて確認・調整する
本洗濯に入る前に、ウェアの細部をチェックしてください。
① ファスナーを閉じる
- フロントファスナー
- ポケットのファスナー
- 脇のベンチレーションファスナー(ある場合)
- 袖口のファスナー
開いたままだと、洗濯中にゴミが入ったり、ファスナーの塗装が傷ついたりします。
② 絞られたひもを緩める
- フードの周りのひも
- 裾のひも
絞ったまま洗うと、ひもが傷んだり、洗濯水が均一に流れなくなったりします。緩く調整してください。
③ ボタンが閉まっているか確認
ボタンが開いていると、洗濯中に引っかかることがあります。
ネットに入れるか、裏返すか、どちらかを選択する
洗濯機で洗う際の注意点は、洗濯機の種類とウェアの装飾 によって異なります。
縦型洗濯機を使う場合
- 洗浄力が強く、生地に負荷がかかります
- ネットに入れて保護することをおすすめします
ドラム式洗濯機を使う場合
- 洗浄力が比較的穏やかです
- ネットに入れなくても問題ありませんが、部品等の保護が必要な場合は入れておくと安心です
プリントロゴがある場合
- 摩擦で剥げるのを防ぐため、ウェアを裏返して洗うことをおすすめします
- 金属製のボタンやファスナー装飾がある場合も、裏返すと安心です
注意:ネットと裏返しの両方は必要ないと考えています。 洗浄力が大幅に低下します。どちらか一方で十分だと考えています。
ステップ5:本洗浄(実際の洗濯)
洗濯コースの選択
洗濯タグに「弱い洗い」と指定されていれば、洗濯機の「弱い」「デリケート」などのコースを選択してください。
特に指定がない場合は、通常のコースでも問題ありません。ただし、ウェアを優しく扱うため、できれば「弱い」または「標準」コースを選ぶことをおすすめします。
水温の設定
水温は、20℃~30℃以下 が目安です。
洗濯タグに温度指定がある場合は、それに従ってください。
汚れがひどい場合は、40℃のお湯を使うと汚れが落ちやすくなります。ただし、高温は撥水コーティングにも影響を与えるため、必要な場合のみにしましょう。
すすぎ回数が最も重要
洗濯において最も大切なのが、すすぎの回数 です。
最低でも2回、できれば3回のすすぎ を行ってください。
理由は、生地に残った洗剤成分は、撥水コーティングの効果を低下させるからです。洗剤成分は思った以上に頑強で、1回のすすぎでは十分に落ちきりません。
多くの洗濯機は「標準コース」で自動的に1~2回のすすぎを行いますが、手動で設定できるなら、3回に増やすことをおすすめします。
ステップ6:脱水のコツ(最も多くの人が失敗する部分)
なぜ脱水が難しいのか
ゴアテックスウェアの脱水は、他のウェアとは異なります。
理由は、ゴアテックスは水を通さない素材 だからです。
通常のウェアなら、洗濯機の脱水で水が絞り出されます。しかし、ゴアテックスは水が通らないため、フードやポケットに水が溜まったまま、洗濯機に大きな負荷がかかってしまいます。
推奨される脱水方法
基本的には全自動での脱水を避ける ことをおすすめします。
ただし、完全に脱水なしでは、ウェアがビシビシに濡れたまま取り出されることになり、干すときに水が大量に落ちます。
推奨される方法は以下の通りです:
1. 脱水前に工程を一度止め、水を軽く切ってから改めて脱水に掛ける(すすぎ後そのまま脱水にいかない)
- 脱水時間は短く(1~2分程度)
2. 洗濯機から取り出す
3. さらに洗濯機の中で軽く絞る
- ウェアを持ち上げ、優しくシェイクして、ポケットやフードに溜まった水を流す
- ウェアの姿勢を変えると、水がバシャッと流れ出ます
4. 再度、軽く脱水を回す
- 1~2分程度で十分です
- 脱水時間が長いほど、洗濯機の負荷が大きくなるため、短めがおすすめです
このプロセスにより、洗濯機への負荷を軽減しながら、ウェアの水分を適度に取り除けます。
脱水できない環境の場合
「細かい脱水設定ができない洗濯機を使っている」という場合は、以下の方法をおすすめします:
- すすぎ終了でストップする
- 洗濯機の中で軽く水を絞る
- 取り出したら、バケツを用意して、その上で軽く絞る
- 水がしたたることを覚悟して、浴室や洗面所に移動させる
- その後、干す
ウェアが重くなるため、複数人で持つなど、安全に注意してください。
ステップ7:乾燥と撥水性の回復を分ける
乾燥方法
脱水後は、陰干し(日光が当たらない場所での乾燥) をおすすめします。
乾燥場所の条件:
- 風通しが良い場所:脱水後も水が落ちるため、床が濡れても大丈夫な場所が最適
- 直射日光は避ける:直射日光に長時間当たると、繊維が劣化して破れやすくなります
- 室内での陰干しも可能:洗面所やバスルーム、クローゼットなど、湿度の高い場所での乾燥は避け、風通しの良い部屋での乾燥をおすすめします
乾燥には 1~2日程度 かかります。焦らず、ゆっくり乾かしてください。
ただし近年フッ素フリーのウェアが増えてきています。この場合、以前のフッ素時代の撥水とは異なり、自然乾燥だけでは撥水が十分に回復しない場合があります。フッ素フリーウェアについては特にこの後の乾燥機の活用が重要です。
撥水性の回復:乾燥機の活用
ウェアが完全に乾いた後、 乾燥機で撥水性を回復 させることが大切です。
乾燥機での撥水性回復プロセス:
- コインランドリーの乾燥機を利用
- 乾いた状態 のウェアを入れる(濡れたまま入れてはいけません)
- 10~20分程度回す
- 熱によって、撥水コーティングが活性化し、撥水性が戻ります
注意:
- 乾燥機は、水分を乾燥させるために実施するのではなく、撥水を早く回復するためです。
- 特にフッ素フリーウェアでは乾燥が重要です。
撥水性が戻らない場合は再撥水処理が必要
乾燥機を使っても撥水性が回復しない場合、それは 撥水コーティングが大幅に剥がれている状態 を意味します。
この場合は、市販の撥水剤を使って自分で再処理するか、プロのクリーニング店に依頼して、再度の撥水処理を行う必要があります。
ただし、正しい洗濯を継続していれば、このような状態になることは多くありません。
よくある失敗と対策
失敗1:洗剤の選び間違い
症状: 撥水性がすぐに落ちてしまう
原因: 柔軟剤入りや香料が強い洗剤を使用した
対策: 次回からアウトドア専用洗剤に変更してください
失敗2:すすぎが不十分
症状: ウェアがなんか重い、撥水性が低い
原因: すすぎが1回だけだった
対策: 次回から最低でも2回、できれば3回のすすぎを行ってください
失敗3:脱水時間が長すぎる
症状: ウェアが傷んだ、シーム(縫い目)が浮いた
原因: 脱水を長く(5分以上)行った
対策: 脱水は短く(1~3分)に留め、洗濯機の負荷を減らしてください
まとめ:正しい洗濯で、ゴアテックスは何年も活躍する
ゴアテックスウェアの洗濯は、決して難しくありません。
ただし、いくつかのポイントを押さえることが大切です:
✓ 洗剤はアウトドア専用を選ぶ
✓ 予備洗浄で汚れを浮かせる
✓ 本洗浄はすすぎを2~3回に
✓ 脱水は短く、負荷を減らす
✓ 陰干しで時間をかけて乾かす
✓ 乾燥機で撥水性を回復
これらを実践することで、あなたのゴアテックスウェアは、何年も高い性能を保ち続けることができます。
新しいウェアを買い替えるのではなく、今あるウェアを大切に長く使う。
それは、環境にも優しく、経済的にも賢い選択です。
プロのクリーニングという選択肢
「自分で洗濯するのは不安」「より確実に、より深く汚れを落としたい」
そう感じる方には、プロのアウトドア専門クリーニングをおすすめします。
ドロップルーフでは、15年以上のレンタルウェア・アウトドアウェア洗濯経験から、一般的なクリーニング店では対応できない、複雑な汚れや劣化に対応しています。
また、自宅での洗濯では回復しない撥水性も、プロの特殊洗浄と撥水加工により、新品同等レベルまで復元することができます。
自分で洗濯できるようになることは大切ですが、時々プロに任せることで、ウェアの寿命をさらに延ばすことができます。
ぜひ、ご検討ください。








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