夏休みのキャンプや登山など、アウトドアイベントに大活躍してくれるテント。でも、テント本体やフライシートは、きちんとメンテナンスをしていかないと劣化という問題が起こります。今回は、テントやフライシートの性質とメンテナンスの行い方についてご紹介します。
テント本体の透湿性とシリコン系防水・撥水スプレー
ファミリーで気軽にキャンプを楽しむ場合とは異なり、登山のようによりシビアな環境で使用するテントには、透湿性が一つのキーワードになります。どのような素材であっても、外気温と室内の温度差が10度以上ある場合、内側部分に結露が生じる可能性がありますが、透湿の面で劣ったテントを使っていると、既にその時点において水滴がポタポタ垂れることも。その点、透湿性の高いタイプであれば結露自体が起きにくくなりますし、仮に感じたとしてもすぐに乾きやすいというメリットがあります。また、透湿性と同時に大切なのが撥水性ですが、優れた素材で作られたものでも、時間や使う頻度に従って徐々に性能が落ちやすくなることは避けられません。シリコン系防水・撥水スプレーは手軽に使えるので便利に思えますが、テント本体に使ってしまうと酸欠を引き起こす可能性があるので注意が必要です。
テントの通気性とシリコン系防水・撥水スプレー
テントに使われているゴアテックスが第一世代であることからも分かるように、透湿性のファブリックがもたらす利点は、防水はもちろん通気性を保つことで結露を招きにくくしています。一方で、こうした透湿性が高い素材は、外部からの汚れには比較的弱いという性質があるので、透湿の効果を十分に保っていくためには、汚れを落とすなどのメンテナンスが不可欠になります。汚れているのにそのまま使っていれば、本来の能力が充分発揮されずに、テントに泊まって朝起きてみたら体が湿っぽかった、ということになりかねません。シリコン系の防水・撥水スプレーは、シリコンで膜を作って覆うことで撥水しますが、ゴアテックスのように透湿素材に使うと、せっかくの通気性が台無しになってしまいます。自身でメンテナンスを行う際には、素材の性質を考慮しないと思わぬトラブルを招くことがあるので、しっかり確認しましょう。
テントのフライシート・タープの防水にシリコン系防水剤
シリコン系の防水・撥水剤をテントに使うと透湿性や通気性に影響が出ますが、逆に通気性が問題にならないアイテムには向いています。つまり、テント本体には向かなくても、タープまたはフライシートのように通気性を重視しないアイテムには有効なのです。しかも、比較的効果が持続しにくいとされるフッ素系の防水剤に対して、シリコン系は効果が持続しやすいという特徴が魅力。市販のシリコン系防水剤を使用すれば、少々コーティングの効果がなくなってきたフライシートでも、自分で防水能力を回復させることが可能です。とはいえ、フライシートの汚れを綺麗に除去したり、防水剤を薄くムラなく塗るというのは、ある程度コツが必要な作業。失敗すると時間が無駄になることもありますので、簡単な方法で十分な防水効果を望む場合にはアウトドア専用の撥水加工業者に相談してみましょう。プロの撥水コーティングをしてもらえるので、効果も断然違います。