【衣類のクリーニング】シミ抜き無料に陥る問題点

こんにちは!今回は多くの方が経験したことがあるかもしれない「シミ抜き無料」のクリーニングサービスについて、その一部の実態と問題点をお話しします。

あなたもこんな経験はありませんか?

「シミ抜き無料」というクリーニング店に大切な洋服を持ち込んだのに、落ちない汚れがあり、タグには「これ以上しみ抜きを実施すると生地を傷める可能性があります」という文言がついていた…

さらに、そのシミを自分で念入りに洗ったら取れた、あるいは別のクリーニング店に持ち込んだらきれいに落ちた、という話を聞いたことはありませんか?

すべてのクリーニング店が問題というわけではありません

まず最初に申し上げておきたいのは、すべてのクリーニング店に問題があるわけではないということです。技術力向上に真摯に努力されているクリーニング店も多くあります。

しかし一方で、お客様獲得のためだけに「シミ抜き無料」を謳い、実際には十分なシミ抜きサービスを提供していないお店も存在します。このブログでは、お客様が知識を身につけ、業界全体が本質的な技術力向上に努力するきっかけになればと思い、問題点を指摘します。

シミと汚れの違いとは?

話を進める前に、「シミ」の定義をはっきりさせておきましょう。

実は、「シミ」と「汚れ」に教科書的な正確な定義はありません。人によって定義が異なるのが、「シミ抜き無料」に潜む罠の一つでもあります。

例えば:

  • コーヒーをこぼしたばかりの染みと、1週間放置した染みでは対処法が全く異なります
  • 油汚れとワイン染みでは、落とし方も全く違います

私の考えでは、シミと汚れは区別すべきです:

  • 汚れ:まだ繊維と化学反応していない、付着しただけの状態
  • シミ:繊維に化学反応して定着した汚れ

この定義によれば、時間が経つにつれて「汚れ」は「シミ」へと変化していくのです。例えば、コーヒーをこぼしたばかりなら単なる「汚れ」ですが、そのまま放置すると繊維に染み込み、化学反応を起こして「シミ」になります。

「シミ抜き」の定義とは?シミ抜き無料に潜む罠

多くの方は「シミ抜き」というと、特殊な機械や技術を使った専門的な処理を想像するでしょう。しかし、驚くことに「シミ抜き」に明確な定義や基準はないのです。

つまり、特別なことは何もせず、通常の洗濯機で洗っただけでも「シミ抜き」と言えてしまうのです。一部のクリーニング店では、少し予備洗浄して洗濯機で洗うだけで「シミ抜き無料」と謳っています。

例えば:

  • 赤ワインのシミがついたシャツを持ち込んでも、通常の洗浄しかせずに「これ以上は生地を傷める」と返されることがあります
  • コーヒーのシミがついたズボンが、「シミ抜き無料」と謳うお店では落ちず、専門店では完璧に落ちることもあります

お客様が想像している「シミ抜き」と、実際に行われていることが異なる場合があるのです。

本当のプロのシミ抜きとは?

では、プロのシミ抜きとはどのようなものでしょうか?

本当の「シミ」は繊維と化学結合しているため、通常の洗剤だけでは落とせません。適切な化学反応を起こさせて落とす必要があります。しかし、このプロセスでは繊維の色が落ちてしまうリスクがあります。

真のプロは、シミを完全に落とすだけでなく、色が落ちた場合でも元の色を完璧に再現する技術も持っています。

実例:

  • ボールペンのインクが服につき、何ヶ月も経った頑固なシミでも、適切な溶剤と技術で完全に除去できます
  • ワインのシミが白いシルクのブラウスについても、シミを落とし、繊維を傷めることなく元の状態に戻せます

プロのシミ抜きが無料でできない理由

本格的なシミ抜きには以下が必要です:

  1. シミの種類に応じた化学反応の深い知識
  2. それらの反応を安全に実施する技術
  3. 様々な薬品と専門器具
  4. 色が抜けた場合に色を補正して元通りにする技術

これらの技術習得には長い時間と努力が必要です。さらに、専門的な薬品や器具も必要です。そして何より、このプロフェッショナルの技術者の時間を使っています。

例えば:

  • 500円玉大のシミ一つを完全に除去するのに、数千円かかることも珍しくありません
  • 本格的なシミ抜きには30分〜1時間以上の手作業が必要な場合も多いのです

これらを考えると、本当のシミ抜きを無料で提供することは、基本的に不可能だと言えるでしょう。

「シミ抜き無料」の言葉に惑わされないために

「シミ抜き無料」という言葉に惑わされず、本当に技術のあるクリーニング店を見極めることが大切です。

私のシミ抜きの先生は、「落とせないシミはない」と実践していました。時には繊維の色も落ちることがありますが、その場合は「色掛け」、つまり色を付け直す技術も持っていました。

真のプロのシミ抜きを行うお店は、「これ以上行うと繊維が損傷する恐れがあります」という札を付けて返すことはありません。毎回確実にシミを落として返してくれます。

ただし、このようなサービスには当然、それなりの料金がかかります。本物の技術には適正な対価が必要なのです。

まとめ

「シミ抜き無料」というキャッチコピーに惑わされず、本当の技術を持ったクリーニング店を選びましょう。大切な衣類を長く美しく保つためには、適正な価格で本物のシミ抜きサービスを利用することをおすすめします。

シミがついたらすぐに対処する、シミの種類に応じた専門店を選ぶなど、私たち消費者側も知識を持つことが大切です。本物の技術を持ったクリーニング店が評価される業界になることを願っています。

おまけ

私たちのお店では「シミ抜き」は実施していませんと表現しています。これは本当のシミ抜きの技術を知っているからこそ、その技術に敬意をこめて、こう表現しています。

ただし、他店でシミ抜きを実施してもらっても落ちなかったシミが落ちたという言葉をよくもらいます。具体的にはgoogleレビューを見てもらえばわかると思います。

私たちはシミ抜きをしているのではなく、あくまで丁寧な汚れ落としをしているだけです。私はこれが「シミ抜き」と謡って、実際には汚れ落とし、しかも本当に簡単な汚れ落とし行為しか実施していないから起こっている事象だと感じます。

「シミ抜き」という言葉が定義されていない以上、お客様側にも期待する行為とそれに必要な対価を、この記事で知ってもらえたら嬉しいです。

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