そもそも撥水コーティングとは? 防水との違い、最新の撥水コーティング事情

アウトドア活動を快適なものにするには、雨や水しぶきをしっかりと弾く、撥水コートされたレインジャケットが欠かせません。しかし、そもそも撥水コーティングとは一体何なのでしょうか? 今回はそのメカニズムや特性、そしてメンテナンス方法について詳しく解説します。

撥水コーティングとは?

撥水コーティングとは、繊維の表面に水を弾く性能を持たせる樹脂コーティングのことを指します。これに対し、親水コーティングは水を引き寄せる性能を持たせます。撥水と親水は用途によって使い分けられるので、特に優劣はありません。

撥水コーティングは、主にアウトドア向けのレインジャケットなどに用いられます。水に濡れたレインジャケットは、重く着心地が悪くなるだけでなく、体温の低下によって、深刻なトラブルを招く危険があるためです。

対して、親水コーティングは、自動車の車体やフロントガラスのコーティングなどに用いられます。親水コーティングを施した自動車からは、水が流れるように落ちていくため、水の跡がシミとなって残るリスクが低いためです。ただし、自動車の場合は、好みによって撥水コーティングと使い分けられています。

撥水コーティングのメリット

撥水コーティングの種類にもよりますが、撥水性を持たせると、防汚性やすべり性も付与されることが多く、アウトドアでの使用に最適です。

例えば、撥水コーティングが施されたレインジャケットは、泥や汚れも簡単に落とせるため、清潔さを保つのが容易です。

また、前述の自動車のボディーのほか、フライパンにも撥水コーティングが使われています。この場合、高温でも分解しにくい、UVに強いなどの特性が求められます。

繊維への撥水コーティングの難しさ

一方で、繊維への撥水コーティングには独特の課題があります。硬いコーティングは繊維に適さないため、しなやかさと耐久性を両立させる必要があります。これが非常に難しいバランスであり、高度なコーティング技術と、適切なメンテナンスが欠かせません。

撥水と防水の違い

撥水とよく似た概念として、防水が挙げられます。しかし、撥水と防水は異なる概念であり、注意が必要です。

繊維に対する防水コーティングとは、繊維の目を塞ぐことで、水を通さないようにする加工方法です。それに対して、撥水コーティングとは、糸の表面にコーティングを施し、通気性や透湿性(水蒸気の透過性)を維持する加工方法を指します。つまり、撥水性のあるレインウェアは、蒸れにくく快適な着心地を提供します。

フッ素を使った撥水コーティングの優位性

撥水コーティングに用いられる素材には、フッ素、ケイ素(シリコン)、炭化水素(パラフィン)などがあります。

その中でもフッ素は非常に優れた撥水性能を持ち、様々な用途で広く使用されています。レインジャケットの場合、PFC、パーフルオロカーボンと呼ばれる、フッ素化合物が広く使用されてきました。また、自動車のボディーやフライパンにおいては、テフロン、ポリテトラフルオロエチレンが広く使用されています。

フッ素化合物は、一般に、化学的安定性が高く、長期間変質しないという特徴を持っています。例えば、レインジャケットに用いられるPFCや、自動車のボディーやフライパンに用いられるテフロンは、いずれも水や油、さまざまな汚れと結合しにくい性質を持ちます。テフロンでコーティングされたフライパンが焦げ付きにくく、洗いやすいのはこのためです。

フッ素フリーへの移行がトレンドに

しかし、レインジャケット、そしてフライパンや自動車のボディーを含む多くの製品で、フッ素を使わない撥水コーティングへの切り替えが進んでいます。それはなぜでしょうか?

第1に、フッ素化合物の化学的安定性は、自然界での分解されにくさに繋がっています。第2に、PFCやテフロンの一部の物質に、人体に有害な成分が含まれることがわかってきました。

こうした環境・健康への懸念から、現在、撥水コーティング全体が、フッ素フリーの素材へと移行しつつあります。

これにより、環境や人体への負荷を軽減しつつも、従来と変わらない性能を維持するための技術が日々進化しています。アウトドアメーカー各社もこの流れに対応し、環境に優しい撥水コーティングの提供に努めています。

フッ素フリー撥水コーティングの注意点

ただし、フッ素フリーの撥水コーティングにも注意が必要です。長年の間、撥水コーティング技術の主流は、フッ素化合物の化学的安定性を生かしたものでした。それに対してフッ素フリーの撥水コーティング技術は、まだまだ発展途上。つまり、必ずしも従来のフッ素化合物を利用した撥水コーティングに、性能面で追従しきれていない場合があります。

レインジャケットの場合、フッ素フリー化のために、シリコンやパラフィンを用いた撥水コーティングが用いられていますが、耐久性や撥油性・防汚性に関しては課題が残ります。そのため、小まめな洗濯と適切なメンテナンスが不可欠です。

撥水コーティングされたレインウェアのメンテナンスの極意

撥水コーティングが施された、撥水透湿性素材を使用したレインウェアは、非常に優れた製品です。その一方で、適切なメンテナンスを行わなければ、表地と裏地の影響で透湿性が阻害されてしまい、その優れた性能を十分に発揮することができません。

第1に、レインウェアの小まめな洗濯が重要です。レインウェアに付着した油やさまざまな汚れを落とすことで、外見を清潔に保つだけでなく、性能をベストな状態に保つことができます。

第2に、繰り返し使用したレインウェアには、劣化した撥水性能を回復させるために、熱処理を行います。それでも回復しない場合は追加の撥水加工が必要です。

これら第1と第2の処理は、フッ素フリー化によって、撥水性能が低下しているため、これまで以上に意識しなければなりません。

プロに依頼すれば、高度な技術と充実した設備により、レインウェアに付着したさまざまな汚れを適切に落とし、家庭では行えない高度な撥水加工を行うことができます。

ドロップルーフにご依頼いただければ、最新の技術を用いた適切なケアとメンテナンスにより、ゴアテックス製品をはじめとする、撥水コーティングが施されたレインウェアの本来の性能を維持することが可能です。ドロップルーフは、アウトドアに特化したメンテナンスで、安全で快適なアウトドアライフをサポートします。ぜひ一度、当社へお問い合わせください。

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