PFASフリーのレインウェア、メリット・デメリット

今レインウェアがPFASフリーに切り替わってきているのはご存じでしょうか?
PFASフリーに切り替わることで得られたメリットもあれば、デメリットもあります。
ここではレインウェアがPFASフリーに切り替わったことで起こるメリットとデメリットについて解説していきます。

そもそもPFASとは

PFASを正しく説明するとポリフルオロ化学物質またはペルフルオロ化合物となります。
有機フッ素化合物とも言えます。簡単に言えば炭素とフッ素の結合をもつ化合物です。
気を付けなければいけない点は、PFASはさまざまな定義がされており、絶対的な定義は今のところなく、定義によってはこの言葉が示す範囲が広かったり狭かったりもします。

これらと似た意味でPFC、PFOA、PFOSという言葉が使われることがあります。
まずは特にこれらの違いについて理解する必要があるでしょう。

PFCとは

最も混乱しやすいのはPFCとPFASの違いです。
既に混同されながら使用されているためこの違いを説明することは難しく、一緒の物として理解しても問題ありません。

言葉の違いで見ればPFASはポリフルオロ化学物質でPFASはポリフルオロアルキル化合物となります。
言葉の上ではアルキル基があるかどうかという違いですが実際は一緒に使われています。
またこの言葉を使う組織や場所によって別途定義されていたりするため、より複雑です。

一旦はPFC≒PFASと考えて頂いて問題ありません。

PFOAとPFOSは?

一方でPFOAやPFOSはPFASやPFCと一緒にしてはいけません。
PFASやPFCが有機フッ素化合物の総称である一方で、PFOAやPFOSはPFCやPFASの中の一物質であるからです。
PFOAはパーフルオロオクタン酸、PFOSはポリフルオロオクタンスルホン酸であり、名前も似ており、マクロ的な視点では似ている物ですが、これらも一緒にしてはいけません。
製造方法から明確に異なっており、それぞれ環境影響や人体の影響等も様々な面で違いがあります。

PFASの何が問題なのか?

PFASの一番の特徴は難分解性です。
つまり自然界で分解されにくいということです。
その分解されにくさから、私たちは水や食物などから定期的にPFASを摂取しています。
残念ながら日常生活を行っていてPFASを摂取せずに過ごすことは難しいというくらい全世界的に拡散しており、大気やハウスダストそして主には水や食物から摂取しています。

すでに世界中に拡散してしまったPFASについては回収することが困難なため、非常に時間が掛かってしまうものの、分解されるのを待つしかありません。

PFAS-freeで変わったこと、PFAS-freeのメリット

PFASフリーつまりPFASを使わないようにするということですが、有機フッ素化合物を使わないことで何が変わったのでしょうか?

ひとつは環境問題でのメリットです。

私たちは1940年頃からPFASを使い始めました。
まだまだ歴史は浅いのですが、PFASは環境中で分解されにくいという特性があり、長期間環境に残ります。
それはどんな環境下にあるかにもよりますが、10年、20年というだけではなく完全に分解されるまでは1000年程かかる場合もあります。

そのため、1940年当時から使い続けられたPFASはいまだに多く環境中に残っています。
PFASは自然界に存在するものではなく、人工的に作られた化合物です。
今マイクロプラスチック問題が最近話題となっていますが、私はそれらに似た印象を受けています。
PFAS自体は目に見えないのでその違いはありますが、PFASという長期間環境に残る物を環境に排出し続けることをどこかで変える必要があります。
ストローをプラスチックから紙に変更するように、私たちは今PFASを使っていた製品をPFAS-freeに切り替えています。

人体的な影響もあるか?

PFASを取り上げている記事か動画では必ずPFASの有害性が取り上げられます。

事実、PFASの一部であるPFOAは世界保健機関のがん研究機関はがんとの関連性があると位置づけました。
PFASが人体に何かしらの影響があることが、使用当時は分からなかったのですが分析技術の向上で関連性が分かってきました。

現段階では残念ながらPFOAやPFOSなどの一部の物質でしか十分な人体の研究は進んでおらず、研究が進められているPFOAやPFOSでさえ、いったいどのくらいまで暴露すると問題なのかもはっきりとせず、暫定基準として一旦の線引きをしているという状況です。

日本人のほぼ全員の血液からPFASは検出されるというデータもあるくらい、すでに国内だけでなく世界的にPFASは拡散されています。
私たちも既にPFASを暴露しています。健康被害はその量や期間を考慮しなければなりませんが、結論として、まだまだ調査中という状況である点も知っておく必要はあります。

PFAS-freeのデメリット

残念ながら私たちはPFAS-freeに移行する際に短期的な痛みを伴う必要がありそうです。
なぜならPFASが持つ色々な特性が素晴らしいため、非常に多くの分野で現在もPFASは使用されています。
レインウェアの撥水に関わらず、多くの分野でそれに代わる技術がほとんどの分野で見つかっていないという状況です。
この状況でPFAS-freeに切り替えるということは、私たちは享受していた利便性を短期的には我慢する必要がありそうです。

これは前述したマイクロプラスチックに似ていると思っていまして、プラスチックストローに慣れている私たちは紙ストローに対して違和感を覚えます。
ただ、違和感で済めばよいのですが、PFASは非常にさまざまな分野で使われているので、場合によっては致命的な影響を与えかねません。
そのような背景から衣類などの生命に直接かかわらない分野から段階的に変更しています。

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