CROSS TALK02
「挑戦」×ドロップルーフ
海外の過酷な山へ向かう
半身麻痺を乗り越えた男の挑戦

独自開発の用撥水加工・クリーニング技術で常に新しい「挑戦」を行い、より良いサービスを追求してきたドロップルーフ。

半身麻痺を乗り越え、海外の高山に精力的に「挑戦」を続ける登山家・片山貴信氏と、
ドロップルーフの開発者でありアウトドアギアレンタル業界のパイオニア「そらのした」代表の室野孝義とが対談を行った。

片山貴信 撥水加工サービス「ドロップルーフ」

 

2020年2月1日 そらのした本社にて

室野 直近の目標を教えてください。

片山 キルギスの未踏峰地域に行くことが今年の目標です。今回はピストン(※1)ではなく縦走(※2)で登ります。

※1)スタート地点から山頂などの目的地の間を、同じルートを使って往復する歩き方。
※2)山頂に立ったあと下山せず、そのまま次の山へ向かう歩き方。

室野 なぜ縦走を選んだのですか?

片山 元々、縦走は考えていませんでした。単なる憧れで、“いつかどこかの未踏峰に登りたいな”って漠然と考えていたのですが、ある日突然、そのチャンスが訪れました。
2019年、キルギス共和国にある7,000m峰に挑戦したのですが、その時にお世話になったキルギスアルパインクラブからある資料を入手することができました。それは、キルギス共和国の山岳記録54年分です。この膨大な記録は、どの地域のどの山が未踏峰(山岳史に登頂記録がない)なのか、何年に誰が初登頂したのか等の情報が詰まったとても価値のあるものでした。

キルギス共和国では国がどこにあるとか、7,000m峰がたくさんあるとか知られてなくて、登山を観光産業にしたいという目的があり、快く資料を譲ってくれました。その資料を読み漁り、キルギス共和国の地図に落とし込み、どの地域に挑戦しようかって考えました。
私は会社員なので、休みが限られています。どの地域に挑戦するか決定するまで、地図を見て頭の中で、何度も何度も山に登りました。4,000m峰、5,000m峰、6,000m峰と、毎日毎日山に登りました。いろんなことを考えて、空想で山に登るのですが、私の経験では6,000m峰が密集する地域には手が出せませんでした。誰も居ない、行ったことのない高峰に行くことが怖かったんです。で、いろいろ考えて4~5,000m峰が密集するザラスキー山脈に決めました。

でも、ザラスキー山脈の、私が行こうと思っている地域では、歯抜け的に2座だけ登られた記録があったんです。ということは、その周辺の山にも登られた可能性があります。
私がある山にピストンで登り、その後、キルギスアルパインクラブにレポートを提出しても、誰かに、『実はその山は俺が登った(通った)山だ!』と、言われる可能性があります。そうなると、今回の目的である未踏峰に登るという事が叶わなくなってしまう。でも、縦走でたくさんの山を繋げば、取りこぼしが少なくなり、どこかの山を手取って、記録に残せるのではないかって考えたんです。

室野 縦走だと大変になりますね。

片山 そうなんですよ。計画がめちゃくちゃ難しいです。ピストンと違って荷物を置いて行けませんからね。今も計画を修正しながら、悩んでいます(笑)

厳しい状況でも力を発揮する、
ドロップルーフの撥水効果

片山貴信 撥水加工サービス「ドロップルーフ」
室野 最終の目標を教えてください。

片山 2025年、北米最高峰のデナリ単身登頂が目標です。デナリは植村直己さんが消息を絶った山なんですが、謙虚な姿勢でありながら、大きな事を成し遂げる姿が好きで、山を登っているうちに、もしかしたら私もデナリに行けるんじゃないか?と、思えるようになりました。
デナリは私にとって簡単な山ではないんです。かなり北緯にある条件の厳しい山です。なので、いきなりは行けないと思っているので、年に1~2座、海外登山に挑戦し、スキルアップしながらデナリを目指しています。

室野 植村直己さんはどういったきっかけで知ったんですか?

片山 詳しく知ったのは登山を始めてからです。同じ兵庫県の出身で、生地の豊岡市には植村直己冒険館というものがあります。何度も何度もそこに通いました。植村さんを深く知ることで、その謙虚さの中に秘める力強さ・人間性がかっこいいと思いました。

室野 その頃はどんな山に登っていたんですか?

片山 残雪期の硫黄岳とか、前穂高岳北尾根など、雪山とクライミングもやりだした頃です。

室野 その挑戦の中で僕らのドロップルーフがどのように役立つことができそうですか?

片山 厳しい状況に耐えられるメンテナンスです。元々、自分がメンテナンスをしていた時は、防水と撥水の違いもよく分からず、防水スプレーをひたすら振っていました。(笑)
厳しい環境で挑戦していく中で完璧に防水するにはどうすればよいか?を調べている時、ドロップルーフを見つけました。

室野 確かに。防水スプレーをいくら振っても効果が限られていますよね。

片山 ウェブサイトで防水と撥水の違いも知って、開発経緯なども知る中で貴社に相談してみようと思いました。

室野 お役に立てるよう頑張ります。

心が折れそうになった時は― 
応援メッセージを励みに

片山貴信 撥水加工サービス「ドロップルーフ」
室野 挑戦という中でお聞きしたいのですが、挑戦中に心が折れそうになった時、どうやって克服しますか?山の準備中でも山に登っている最中でもどちらでも構いません。

片山 自分が何のために挑戦しているんだろう?と、いうことを気付かせてくれるのは、応援してくれる方々のメッセージです。『頑張ってね!』とか、『応援しているよ!』と、みなさんが掛けてくれる一言がめちゃくちゃ大きいです。
最近では応援メッセージよりも世間話が多いですけど(笑)『今日は日本で雪が降りました。』とか、『今、紅白見ています。』とか、『今日、自転車がパンクしました。』とか。どうでもいい事じゃないですか(笑)
応援すると私を追い込んでしまうかも?という気遣いなのか、普通に接してくれているのもうれしいです。

室野 応援が励みになる事は私も感じます。今ドロップルーフでやっている弾水コーティングの技術も私はまだまだ満足ができていなくて、私たちの挑戦でもあるんです。もっともっと素晴らしい技術にしていかなきゃと思って研究開発していますが、くじけそうな時に喜んでもらえた声を見る事で、もっと喜んでもらう人を増やすんだと奮起してやっています。あと20年後には…満足ができる技術に仕上げたいですね。

挑戦しようとしている人へ― 
片山さんからのメッセージ

片山貴信 撥水加工サービス「ドロップルーフ」
室野 挑戦しようとしている人にメッセージをお願いします。

片山 自分の限界は他人に決められることではない。でも、自分が諦めるとそこが限界になってしまう。

自分が気づきを与えてもらったことへの恩返しで、次は自分が伝える側になろうと思いました。そう思うきっかけが、たまたま山(八ヶ岳大同心)だったので、山を通じて伝えています。私の左腕は当時治らないと言われていて、左腕のリハビリはなかったんですね。右手で生活する為のリハビリでした。右手だけで靴下を履くとか、頭を洗うとか。
腐っていた私は、小学生(※プロフィール参照)の彼に出会って、気付きを与えてもらったことで、左腕が動かなくても前向きになれたんです。そして、左腕が全く動かなかったけど、ダメもとでやってみようかなと思えたんです。

室野 それまでは(左腕を)動かそうともしなかったんですね。

片山 『動かない』と言われて、諦めていました。それで、家族や、友達、病院の関係者に当たり散らしていました。でも、出会いがあって変われました。それだけでなく、左腕が全く動かなかったこともよかったと思います。
室野さんも想像してほしいですけど、もしほんの少しでも左腕が動いていて、医者から『それ以上無理をしたら動かなくなるよ』って、言われたら、たぶんやってなかったと思いませんか?
でも全く動かなかったから、これ以上悪くならないから、無茶をしても、今のままか良くなるかしかないって思ったんです。

室野 そうか、これ以下が無かったんだ。

片山 そうなんですよ。少しでも動いていたら、私はたぶんやってなかった。左腕が全く動かなかったことと、小学生に気付きをもらったことがプラスになって、気持ちが前向きになれました。誰かに当たり散らすってことも無くなったんです。
私はたまたま左腕が動きましたが、本当に治らない人は沢山いると思います。頑張っても治らない人がたくさんいる。ただ私はこういったきっかけで前向きになれたよ!ってことだけでも伝えられたら、病気や怪我は治らないかもしれないけど、気持ちだけでも前向きになれるんじゃないかって思うんです。そういうことを私の活動を通して伝えられたらうれしいです。

片山 3年前、ある女性と知り合いました。その方は仲間数人と雪山を登山中に、雪庇を踏み抜いて200m滑落し生死を彷徨いました。仲間と同じトレースを辿っていただけなのに、その方だけが滑落しました。一歩遅くても、一歩早くても、人生が変わっていました。なぜ私なのか?と、とても悩んでいました。
でも、私の挑戦を通じて前向きになってもらえ、今ではもう雪山に戻っているんです。そういうのを見ると自分のやっていることは無駄じゃないんだなと実感できます。

室野 そこでふさぎ込んでしまう時期って当然あるとは思うんですが、不遇な状況があったかもしれないんですが、それをずっと恨んでいても仕方ないから、今から何ができるのかと気持ちが切り変わったんですね。

片山 そう、そのきっかけが作れたんです。この先もそう言ったことを伝えていきたいんです。
片山さんは今年7月18日にキルギスへ向け出国予定です。
アグレッシブに「挑戦」を続ける片山さんとドロップルーフに、今後もご注目ください!
片山貴信 撥水加工サービス「ドロップルーフ」
画像LIFULL(片山)提供

PROFILE

片山貴信Takanobu Katayama

1974年生まれ。兵庫県出身。会社員。
20歳の時にバイクで単独事故を起こし、ガードレールの支柱に突っ込み意識不明の重体。医者からは『右足は完全には曲がらない、左腕はもう動かない』と宣告。
ある時、彼と同じく交通事故のリハビリに励む小学生の男の子が、「『一生ひざが曲がったままか、のびたままのどちらを選ぶ?』という問いに、その男の子は迷わず『のびたままがいい』と答え、その理由は”走れる”からというものだった。難しいことを考えず、今できることを素直に選んだ男の子、そんな単純な理由で決めてしまうのか!と衝撃を受け、自分もやれることをやってみよう!という気持ちに切り替えられた。過酷なリハビリ、十数回の手術を経て奇跡的に回復。
2014年から本格的に登山を始め、2015年からは海外遠征を開始。欧州最高峰のエルブルス、南米最高峰のアコンカグア、2019年にはクーヒ・ガルモ(7,134m)等の単身登頂に成功している。
サンテレビ「ひょうご発信!」、シャナナTV「目からウロコ」などに出演。

オフィシャルウェブサイト https://taka10pj.com/
Instagram @takanobu.katayama_official
Facebook https://ja-jp.facebook.com/Taka10プロジェクト-1499448583701714/
室野孝義 撥水加工サービス「ドロップルーフ」

PROFILE

室野孝義Takanori Murono

1980年生まれ。大学を卒業後、日本で2社のみとなるフッ素製造メーカーのダイキン工業に入社。エンジニアとして開発業務に携わる。その傍ら泉州山岳会に所属し、登山に関しての知識を基礎を教わる。2010年より個人事業主としてアウトドアギアレンタルそらのしたを始め、日本で初めて、登山を中心としたアウトドア用品のインターネットレンタルを開始する。
2012年株式会社そらのしたを設立。現そらのした代表取締役社長。
公益社団法人山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ&自然ガイドステージⅠ
日本キャンプ協会 キャンプインストラクター、日本オートキャンプ協会 キャンプイントラクター、クリーニング師、高圧ガス製造保安責任者
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