CROSS TALKクロストーク

アウトドアギアレンタル業界のパイオニアにして最大手でもある「そらのした」。
この度「そらのした」から新しいサービス、撥水加工専門サービスの「ドロップルーフ」が始まる。
そこで、そらのした 代表取締役社長 室野孝義氏に、ドロップルーフとその開発への想いを聞いた。

撥水加工サービス「ドロップルーフ」

 

―撥水加工専門サービス「ドロップルーフ」について教えてください

「ドロップルーフ」とは「そらのした」が新たに始めたサービスです。お客様が普段アウトドアで使用する、レインウェア、テントなど、撥水加 工が されている製品に対して最適なクリーニングをし、さらに撥水力を復活させるために「弾水コーティング」を行います。「弾水コーティング®」は、その撥水力はもちろんですが、撥水性を長時間持続するというとこ ろに 大きな特徴があります。

―弾水コーティングの開発の経緯を教えてください

そらのしたの主力事業として登山用品やキャンプ用品のレンタルを行ってます。私自身もハイシーズンは靴を洗ったりしてメンテナンスを手伝ったりしてます。ある時、富士登山でレンタルしたウェアが返却された際にウェアがびしょ濡れ状態だったんですよね。悪天候に遭われたのだ から当然仕方がない事なんですが・・。レンタルのプロ、メンテナンスのプロとして私はなんだか悔しかったですよ。富士登山に行っても全然濡れないウェアに出来ないものだろうか?そう考えたのがきっかけです。実際、撥水性が高いウェアは安全性も高まります。ウェアが水を吸ってしまうと、ウェア自体も重くなるし、水が介入することで冷えの原因にもなる。撥水性を高めることで登山がもっと安全なものになるし、快適なものにできる!よし、僕たちはアウトドアメンテナンスプロとして、撥水性の維持に本気で取り組んでみよう!と考えました。

試行錯誤をすれば撥水性を戻すことはきっと出来ると確信がありました!

撥水加工サービス「ドロップルーフ」

―開発にあたり苦労した点などを教えてください

最初の問題は、当たり前のことですが、扱おうとしているものが既に撥 水処 理されているということでした。既に撥水処理がされているのでさらに撥水剤をつけようとしても弾かれてしまいな かなか定着しないという問題が起きました。次に撥水処理が上手くいき撥水性が向上してもそれが長続きしないという問題にもぶつかりました。それらを解決するためにさまざまな方法を試し実験を繰り返しました。ただ、自分は技術上がりなので、研究をすることに関しては心得がありましたし、試行錯誤をすれば撥水性を戻すことはきっと出来ると核心がありました。

―撥水性の持続力向上に注力した理由についてお聞かせください。

 実は撥水性を一時的に復活することはそれほど難しいことではないんです。僕らはそれを初期撥水性と言っていますが、初期撥水性は高くてもそれが長時間持続するとはかぎりません。その長時間持続こそが一番の課題でした。過酷な環境下でも長時間快適性を保てることが最大の目標でした。それは、もっと快適で、もっと安全な登山をするためにはとても重要なことだと思っています。

喜んでくれる人が絶対にいると信じ、問題があっても絶対に諦めない!

撥水加工サービス「ドロップルーフ」

―開発にあたりどのようなテストや検証を行われているのですか?

JIS規格で定められている撥水試験を弊社でも採用し繰り返し試験を行ってきました。但しこれだけでは足りませんので、撥水耐久性に関して弊社独自の評価方法を考え、試験として取り入れてます。評価の信頼性を確認するため、外部の研究機関に依頼しその撥水性や撥水耐久性も調べました。

―地道な努力を支えるモチベーションはなんですか?

やはり、今までに無いものを世に出したいという開発者としての思いがあります。喜んでくれる人が絶対にいると思いますし、そのためには問題があっても絶対に諦められないと思って研究を続けてきました。

―「ドロップルーフ」の今後の展望について教えてください

今はまだ登山用品に限定してサービスを開始しましたが、今後は別の用途でもこの再処理技術を活かしていければと思っています。山の技術が他の分野で役に立つということは今までにも沢山あることなので、弾水コーティングを他の分野でも試していきたいと思っています。
撥水加工サービス「ドロップルーフ」

PROFILE

室野孝義Takanori Murono

1980年生まれ。大学を卒業後、日本で2社のみとなるフッ素製造メーカーのダイキン工業に入社。エンジニアとして開発業務に携わる。その傍ら泉州山岳会に所属し、登山に関しての知識を基礎を教わる。2010年より個人事業主としてアウトドアギアレンタルそらのしたを始め、日本で初めて、登山を中心としたアウトドア用品のインターネットレンタルを開始する。
2012年株式会社そらのしたを設立。現そらのした代表取締役社長。
公益社団法人山岳ガイド協会認定 登山ガイドステージⅡ&自然ガイドステージⅠ
日本キャンプ協会 キャンプインストラクター、日本オートキャンプ協会 キャンプイントラクター、クリーニング師、高圧ガス製造保安責任者